パクレ警部の事件簿問題を振り返る

旧ハレサレポートからの復刻記事です。

次回の大型アップデート、バージョン4.5後期ではパクレ警部の事件簿の追加クエストが作られることになっています。
パクレ警部の事件簿のストーリー内容に批判が多かったからです。

パクレ警部の事件簿問題とは

パクレ警部の事件簿はキャラクターズファイルシリーズ(サイドストーリー的な連続クエスト)の第4弾として登場しました。

このストーリーは全体としては軽い雰囲気で進行しますが、パクレ警部は主人公たちよりも強大な秘密組織の一員であり、アストルティアや他の世界を監視しているという設定が登場します。

そのため、そんな組織があるのならプレイヤーがこれまでやってきたことは何だったのか?というような批判が多くあったようです。

あわてた開発運営は、説明と謝罪のコメントを発表し、追加クエストが作られることになりました。

『パクレ警部の事件簿』は「不思議な出来事のお話」としてスタートしました。起こったことが現実だったのか? まさかの白昼夢だったのか? 誰かの脳内世界なのか? 世界にはとんでもない秘密があるのかもしれず、現実と虚構の境が曖昧になる。そんな「ドラゴンクエストX」には無いタイプのお話として、キャラクターズファイルの場で挑戦しました。

ネタばらしになってしまいますが、今回のお話はパクレ警部の夢想がプレイヤーに干渉した虚構の世界です。「登場するキャラクターや秘密組織があまりに強大すぎる」というご意見を多くいただいたのも、虚構の世界ならではの設定になります。
現実のパクレ警部の活躍を想像していた多くのみなさまに、期待と異なるお話をリリースしてしまったことも、あわせてお詫びします。

クエストでは、パクレ警部が謎の秘密組織の敏腕エージェントであり、アストルティアはその組織に監視され続けているのかも? という結末を迎えます。クエストを制作する過程で、明確に夢想だとわかる「オチ」を付けたほうがよいのではないかという議論もありましたが、最初の方針である「不思議なお話」を目指して、現在の結末になっています。
「もしかしたらこういうことなのかも……」と、いろいろ想像できる余地を残しておく意図です。しかし、この判断は失敗でした。

多くの伏線や思わせぶりなセリフが未消化のまま残され、クエスト終了後に起きたことを否定するNPCのセリフも中途半端なものになってしまい、意図せぬ解釈に強く誘導してしまいました。クエストクリア後に「隠しオフィス」を消すつもりだったのですが、クエストボス討伐のお手伝いができるようにするために残してしまったことも、起こったことが事実であるとの印象を強くしてしまいました。

冒険者のみなさまやアストルティアのキャラクター達の冒険を無意味に感じさせてしまったこと、サブストーリーの設定がメインストーリーの世界を監視・干渉しているように感じさせてしまったことなど、このクエストの問題はひとえに私たちの力量不足によるものです。誠に申し訳ございません。

もう一度やってみる

この開発運営の説明を読んだ後に、改めてパクレ警部の事件簿をやり直してみました。

パクレ警部と合っていたことや、置物を直したという事実はクエスト後にも残っていますね。

エージェントは記憶操作ができる描写もあるので、このクエスト内に限って言うと事実だったと考えて矛盾がありません。

むしろ事実ではないかも知れないと思える要素は、この設定がこのクエスト以外ではまったく登場しない突拍子も無さしかありません。

ありそうもないことなのに、現実ではなかった証拠はない。というわけで「現実と虚構の境が曖昧になる」「不思議な出来事のお話」という狙いだというのは理解できます。

人形たちのラグナロクに似ている

現実と虚構の境が曖昧になる。そんな「ドラゴンクエストX」には無いタイプのお話として、キャラクターズファイルの場で挑戦しました。

と説明では書かれていますが、似たタイプの話はあったと思います。

アズランの街の外伝クエスト「人形たちのラグナロク」です。

このクエストも人形が意志を持っていて会話もできるという、このクエスト以外ではまったく登場しない突拍子もない設定が現実のように進行します。幻覚だったというようなことを示唆する表現は最後までありません。

人形と会話したのは確かなのだけれど、あまりに突拍子も無い内容なので自分が幻覚のようなものを見ていたわけではないとも言い切れない…というわけで、「現実と虚構の境が曖昧になる」。似ていますね。

パクレ警部の事件簿は、人形たちのラグナロクをお手本にして考えられたんじゃないかなと思います。

どこが違うのか

問題になったパクレ警部の事件簿と何が違うのか?と考えれば、「突拍子もない設定」の中身じゃないでしょうか。

もし人形が実は意思を持っていて会話もできる、というのが現実だったとしても、だからといってゲームの世界がおかしくなってしまうことはありません。むしろ夢のある話です。

しかし、時空監察機関なんてものがもし本当にあるとしたら、プレイヤーのやっていることの意味とはなんなのか?となってしまいます。

「もしかしたらこういうことなのかも……」と、いろいろ想像できる余地を残しておく意図です。

「現実と虚構の境が曖昧になる」。そのコンセプトは別に良いと思うんですが、もしかしての「虚構」の内容がちょっとスケールが大きすぎたんじゃないかな、と思います。
私個人的にはそんなに気になるようなことでもないんですけどね。自分が良いと思う方に解釈すればいいと思うので。

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