公式RMT路線で失われるもの

ジェム課金の話題

最近、提案広場などでもよく見かける話題があります。

ジェム課金がゲームに影響するようになるアップデートが立て続けにあったからですね。

今回はこの件について、私の思うことを書いてみようと思います。

BGM

最近追加されたジェム課金

まず、どんな変更があるのか、主なものをまとめてみていきましょう。

コイン当選率2倍

ジェムを使って福引すると、コインの当選確率が普通にゲーム内で引く人の2倍というキャンペーン。

マイタウンメダル

マイタウンの権利書をジェム福引で入手可能。権利書は他人に売ってゴールドに変えることが可能で2億ゴールド相当の価値があります。

しかも、集めるマイタウンメダルというのは売れないので少数だけ持っていても何の意味もなく、非常に高額の課金を促進する仕組みです。

工匠神の依頼

ジェムでダイレクトにゴールドと経験値を入手。(ゲーム内ではできません)

ツール強ボス

ジェムでオーブを入手。追加支払いでゲーム内の2倍入手することも可能。

公式RMTがさらに拡大

これらの例は、どれもジェム(≒リアルマネー)でゲーム内のゴールドを得ることができるので、公式RMTといえるものです。

ちなみに、公式RMT路線はべつに今に始まったわけではなく、もうずいぶん前からなしくずし的に拡大してきました。
とはいえ、今まではいちおう建前を維持して、RMT的な仕組みはできるだけ間接的で目立たないようにしていました。
しかし今回の立て続けの追加では、もはや建前を取り繕うことすらやめて、あからさまに有利になるようにしています。

RMTを禁止する理由

では、いままで公式RMTを建前としてはやっていなかったのはなぜでしょうか?

ドラクエ10のようなオンラインゲームは、ほかの多数のプレイヤーと同じ世界で活動することになります。そのため、単に自分とゲームシステムとの関係だけでなく、世界を共有する「他人」との差というものが大きな関心を持たれることになります。

ゲームとして実際に対戦相手のように直接争うわけではなくても、他人というのは一種の競争相手のような存在であるわけです。
そういうゲーム世界において、他人が自分よりも現実世界の影響力(リアルマネー)を使ってゲーム世界での地位を優位にしているとわかると、ゲーム内の世界で頑張ることが空しいことだと感じる人が増えます。

現実世界の影響を強く受ける世界では公平感がないので、わざわざそんな世界でなにか頑張ろうと思う人は増えにくく、ゲーム内世界の活力に繋がらないということですね。

ドラクエ10のようなゲームの多くがRMTを禁止している理由はこれでしょう。

なので、RMTがよくないのは業者がやっているからという理由だけではないです。スクエニ自身がRMTを運営するとしても弊害は同じなので、建前としてはやっていなかったのです。

開発運営とユーザーの運命共同体

開発運営は、利益を得るためにドラクエ10を運営しています。
一方、ユーザーは、ドラクエ10の世界をより良くして欲しいと考えます。

開発運営が利益を得るには、ドラクエ10世界の発展が必要なのだから、両者は本来は運命共同体です。

ドラクエ10の世界を良いものにすることが開発運営自身の死活問題でもあればこそ、ユーザーも運命を共にする存在として開発運営を信頼できるわけです。

運命共同体の崩壊

しかし、そこに公式RMTが関わってくると、話が違ってきます。
ドラクエ10世界の興廃が、必ずしも開発運営にとっての死活問題ではなくなるからです。

公式RMTを強化すれば、開発運営はそこから利益を得ることができます。

上に書いたとおり、RMTというのは公式がやるものであれ業者がやるものであれ、長期的にみると世界を衰退させる傾向のものです。…が、そんなに短期に一気に衰退してしまうというわけでもありません。
であれば、開発運営はドラクエ10世界の発展などという大仕事より楽な公式RMTで、衰退は許容しつつ終了まで利益確保を図ることもできるわけです。

…開発運営とユーザーの運命共同体の崩壊です。

未来の希望が現在を支えている

運命共同体が崩壊すると、まず未来への信頼が失われます。
開発運営はもうドラクエ10を本気で立て直す必要はないわけですからね。

しかし、失われるのはそれだけではありません。

未来への信頼というものが、実は「未来」だけでなく「現在」の遊びの楽しさのうちのかなりの部分を構成しているからです。

よく、初期のオンラインゲームは楽しいとか言われますよね。ドラクエ10でも、遊びの幅は狭かったのにバージョン1や2の頃の方が世界に活力が満ちていました。
こういう現象は、その世界での「未来への期待」というものがプレイヤーの目標になって活力を生み出すためだろうと私は思います。
要するに、未来の発展が期待できるとそれだけで現在が楽しめるのです。

ということで、記事タイトルの結論はもうわかりますね。

公式RMT路線強化は、ユーザーの未来への信頼を失わせ、ひいては今現在の楽しみをも失わせてしまうだろう。

と私は思います。

追記|夜話で衰退を確信

関連した話題が、公式放送のプロデューサー夜話で発表されました。

プロデューサー夜話・注目の話題とその感想事前に踏み込んだ話があると公表されていた、7/9放送の第12回超DQXTVの中の「プロデューサー夜話」のコーナーについてです。…

内容はこちらの記事で紹介しています。

これをみて、私は「ドラクエ10に未来はもうない」と確信することになってしまいました。

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